古宿観音堂(塙町)概要: 古宿観音堂は福島県東白川郡塙町大字伊香字古宿に境内を構えている御堂です。案内板によると「平安初期に編さんされた「日本後紀」の弘仁2年(811)4月条に「高野」の駅が設置されたと記されています。この「高野」は、伊香辺に比定されています(福島県史)。都から陸奥国府(宮城県多賀城市)は通じた、古代の国道が設置され、中央の文化が、陸奥国に入る接点にあったのです。この観音堂は、一面が4.85メートルの入母屋造りで、十一面観音を本尊とし、天井には寛保2年(1742)狩野益信の筆になる、墨絵の龍が描かれています。・・・(後略)」と書かれています。
古宿観音堂の創建は不詳ですが伝承によると「朝日長者」と呼ばれる村の長者が旅人から金品を強奪し殺害を繰り返していました。すると子供が次々に死亡するなど不幸が続いた為、悪行を悔い修行の旅に出掛けました。ある日、修行僧と出くわし、事情を詳しく話すと黄金と漆塗、朱塗の杯を千枚づつ土の中に埋め観音堂を建立すると、その罪から逃れる事が出来ると告げました。長者は早速地元に戻り観音堂を建立すると死者達は成仏したと伝えられています。
古宿観音堂は旧街道からは若干中に入る為、解りづらい所にあり、境内は思ったより広く、参道の奥にあるというよりは広場の中に存在するといった印象を受けました。境内には多くの石碑や小祠などがあり、地域から信仰が篤かったことが窺えます。
古宿観音堂は木造平屋建て、寄棟、銅板葺き、平入、桁行3間、張間3間、外壁は真壁造板張り、江戸時代中期の寺院御堂建築の遺構として貴重なことから昭和51年(1976)に塙町指定有形文化財に指定されています。
古宿観音堂本尊である木造十一面観音立像は像高2m以上、欅材、一木造、制作年代が不明なものの、町内に残された古仏像の遺構として貴重な事から昭和51年(1976)に塙町指定有形文化財に指定されています。
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古宿観音堂:上空画像
【 参考:文献等 】
・ 現地案内板-塙町教育委員会
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