弁財天堂(大内宿):概要 弁財天堂(福島県下郷町)は大内宿の会津若松側の突き当たりの高台に位置し子安観音堂のさらに奥にあります。弁財天堂の内部にはやや大型の石祠1基と小型の石祠2基が安置されています。弁財天は仏教の守護神である天部の一つで、日本では七福神の1柱としても知られ、財宝神や水神、芸能神としても信仰されています。向って左側にはやはり水と関わりの深い不動明王が祭られている三佛堂が境内を構えている事から、当時の大内宿で生活する人々にとって「水」が大変重要だった事が窺えます。
鳥居の脇には名号塔(名号塔とは「南無阿弥陀仏」の6文字が刻まれた石搭の事で、南無阿弥陀仏を唱えると成仏出来るといった念仏講が大内宿にもあったと思われます。)の他、文化5年(1808)に奉納された庚申塔(庚申信仰とは体の中に巣食う三尸九虫が庚申の日に天界に戻り、その人の悪事を天帝に告げ口するとされ、それを防ぐには庚申の日に寝むらない事が有効であるという考えから、その日は信者達が集まり、寝ずに集会が行われます。
大内宿でもこのような庚申講があった事が窺えます)、文政2年(1819)に奉納された巳待塔(巳待信仰は巳待の日に信者達が集まり夜遅くまで精進供養をします。大内宿でもこのような講中があった事が窺えます)、青面金剛塔(青面金剛は庚申信仰の本尊的存在で、青面金剛が3猿を踏み付けています)、天保15年(1844)に奉納された白湯山供養塔(白湯山とは栃木県那須町にあった山岳宗教の霊場の事で、往時は多くの信者が存在し大きく発展しました。特に栃木県那須町から福島県下郷町にかけて多くの白湯山供養塔が建立された)、弁財天石塔が建立されています。
弁財天堂(大内宿)・写真
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